不動産相続による、相続税対策とは?

税金について

毎年末に翌年の税金に関する法律の改定内容が発表されますが、特に相続税関係は該当する件数が増え続けているため、改定の多い法律となっているようです。

2015年の相続税に関する法律改正の際には、相続税の基礎控除額が縮小して実質的に増税となり、相続税支払い対象が増えました。また、相続税の影響からか相続しても登記せず、所有者不明となる不動産も増えたため、登録免許税を免税にするなどの動きもとられています。

こうした中、「相続税の節税対策として不動産が効果的」だという話を聞いたことがあるかもしれません。もちろんケースバイケースではありますが、一定の効果は得られているようです。

では実際にどういった仕組みで節税対策になるのか、また節税対策のための不動産の持ち方について見ていきましょう。

■不動産が節税対策になる理由とは

相続が発生する場合、現金は金額そのまま、有価証券は主に時価が課税対象となり、税金の額が高くなる傾向があります。一方、土地や持ち家・アパート・マンションといった不動産を相続する場合は、固定資産台帳や路線価から算出された評価を基準に課税されます。

路線価は実際の価格の70%~80%で評価される場合がほとんどです。それに伴って不動産の価格も3割ほど減少し、相続税の課税対象額も低くなります。こうした仕組みが、不動産が節税対策になると言われる理由です。

相続する前に不動産を購入し、相続後に売却し現金を回収するという方もいます。また不動産を購入する際に住宅ローンを利用することで、所得税の減税というメリットも生まれます。

■不動産の評価額とは

上の項目で不動産が固定資産台帳や路線価などから算出されることをお伝えしましたが、実は土地と建物でも評価方法が違います。 建物自体は倍率方式で評価され、市町村が固定資産税を課税するために設定している「固定資産税評価額」と同額になります。

一方で土地を評価する方法は「路線価方式」と「倍率方式」という2つの方法によります。土地の評価額を示す「路線価」が定められている地域は路線価方式が適用されます。

路線価が定められていない、農村部や山間部といった建物が極端に少ない地域の場合は、倍率方式が基本となります。
固定資産評価額に、国税庁が発表している「財産評価基準書」で該当する地域の倍率を乗じて計算します。

例えば、固定資産評価額が1,000万円で倍率が1.4の場合には、1,400万円となります。
実際にはこの1,400万円に対して、持ち主の事情が含まれて減額されることが多いようです。

■「親名義」が不動産相続のポイント

相続税の対策を考慮する場合、住宅などを建てるのは親の名義を利用するほうがいいかもしれません。住宅ローンを利用する際、子どもの名義のほうが審査は通りやすいですが、当然ながら親の名義にしないと相続の対象となりません。

また現金などの資産を親から子どもに譲ってから建てると、贈与税の対象となる可能性もあるので注意が必要です。親の現金と名義を利用して住宅を建てるということが、節税対策になるのです。

以上のことから、不動産で相続することは一定の節税対策になるといえるでしょう。ですが法律は毎年見直されてますので、状況に応じた対策が必要となります。

また不動産を相続する場合、複数に分けることができないため遺産「争続」の問題に発展する可能性もあります。できるならどのタイミングで売却するのか、売却しない場合の割り振りなど、しっかりと計画を練って明確に意思を伝えておくことが重要です。